総合科学研究科農学専攻の五十嵐あかりさんと菅原千尋さんが第73回東北畜産学会青森大会で「優秀発表賞」を受賞

掲載日2024.09.02
ニュース

総合科学研究科農学専攻動物科学コースの五十嵐あかりさんと菅原千尋さんが、2024年8月28から29日に開催された第73回東北畜産学会青森大会にて「優秀発表賞」を受賞しました。
本賞は、40歳未満の会員の中で、優れた研究を行い発表したと認められる会員に授与されるものです。

発表題目

接触型電極を用いたインピーダンス測定による鹿肉のpHの非破壊推定

受賞者

五十嵐あかり

研究内容

近年、ニホンジカによる農林業被害が深刻になっています。しかし、駆除のために捕獲されたシカのうち,食肉などのジビエとしての利用割合は捕獲数の約15%にとどまっています。シカの捕獲方法は鹿肉のpHに影響を及ぼし、鹿肉のpHが高くなると加熱中の保水性が高くなります。したがって、鹿肉を調理または加工して喫食する場合には、pHの違いによる保水性(肉汁の漏出の程度)の特徴を考慮する必要があります。また、このためには、鹿肉のpHを流通の段階で非破壊的に測定する必要があり、その方法の一つとしてインピーダンス(交流回路における電流の流れにくさ)に着目しました。そこで、野生ニホンジカの筋肉を用いて接触型電極によるインピーダンス測定を行い、pHとの関係について検討を行いました。その結果、10 kHzにおいて接触型電極を用いて貯蔵前に鹿肉のインピーダンスを測定することにより、貯蔵24時間後の鹿肉のpHを非破壊的に推定できることが明らかとなりました。

発表題目

イワテヤマナシ果汁の浸漬および注入が日本短角種牛肉のテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響

受賞者

菅原千尋

研究内容

和牛の1品種であり、主に岩手県で生産されている日本短角種は、その牛肉に含まれる脂肪含量が低いことから、黒毛和種の牛肉に比較して硬いと評価されています。そのため、日本短角種牛肉を軟化させる方法が求められてきました。私たちの研究室では、ナシにはタンパク質分解酵素が含まれているため、イワテヤマナシの果汁に日本短角種牛肉を浸漬させることにより、牛肉の表面に近い部分を軟化できることを明らかにしてきました。また、タンパク質分解酵素を含むパイナップルの果汁を日本短角種牛肉に注入することにより、牛肉の中心部分を軟化できることも明らかにしてきました。そこで、日本短角種牛肉をイワテヤマナシの果汁に浸漬させる前に果汁を注入し、牛肉のテクスチャー特性(硬さなど)および保水性(肉汁の漏出の程度)に及ぼす影響について検討を行いました。その結果、注入浸漬処理は軟化効果が高く、また保水性も低下しない軟化方法であることが明らかとなりました。

本件に関する問い合わせ先
農学部動物科学科  食肉科学研究室  准教授 村元隆行